大網白里市で、これからのまちの形を左右しそうな動きがいくつも重なっています。
白里地域で検討されていた「道の駅」は中止。
一方、大網駅南側では約18ヘクタールを対象に、商業施設や住宅、駅前広場などを含む新しいまちづくりが進んでいます。
さらに2026年10月29日には、市全体の将来像を示す新しい都市計画マスタープランも策定されました。
そして今年の大網白里市を考えるうえで外せないのが、8月豪雨や台風25号による水害です。
・白里地域の道の駅整備は中止
・大網駅南側約18haのまちづくりは継続
・駅前広場、商業・業務、住宅、公園などを検討
・駅南地区では浸水対策も重要テーマ
・2026年10月、新しい都市計画マスタープランを策定
・人口減少と転出超過傾向への対応も課題
白里地域の「道の駅」は正式に中止
まず大きな変更が、白里地域で検討されていた道の駅計画です。
大網白里市は2026年6月5日、道の駅整備の検討を中止すると正式に発表しました。
この計画は単なるアイデアではありません。
2023年度に道の駅整備検討委員会を立ち上げ、2024年度には基本構想を策定。
2025年度には、民間企業の力を利用して事業化できるかどうかを調べる「民間活力導入可能性調査」まで行われていました。
なぜ道の駅をやめたのか?
市が挙げている理由は、建設費だけではありません。
- 物価高騰による整備費の増加
- 人手不足
- 国際情勢による公共事業費の上昇
- 金谷川の河川改修
- 新ごみ処理施設の整備
- 公共施設の老朽化対策
- 道路や排水など生活インフラへの対応
など、今後必要になる大きな支出が重なっています。
特に注目したいのが金谷川の河川改修です。
道の駅を新しく造るより、まず市民生活を支える治水や道路、既存インフラへ財源を振り向ける必要があると判断したことになります。
道の駅計画中止の直後に大規模な水害
そして2026年、大網白里市は実際に大きな水害を経験しました。
8月の千葉豪雨、その後の9月の大雨、さらに台風25号。
市内では住宅の浸水、道路冠水、土砂崩れなどが発生しました。
台風25号の後には、一部道路で冠水が続き、複数地点で通行止めが発生。
小西から季美の森へ抜ける小西坂では大規模な土砂崩れが発生し、9月25日時点で復旧の見通しが立っていないと市が発表しています。
車を「水没から守る避難場所」まで開設
台風25号の接近時には、市が車両避難場所も開放しました。
これは人が車中泊する場所ではなく、自動車を浸水・水没被害から守るための場所です。
- みどりが丘市有地:約50台
- 運動広場駐車場:約70台
- DCM大網永田店:約100台
- 大網白里アリーナ:約40台
合計で約260台分が用意されました。
車社会の大網白里では、住宅だけでなく自動車を守ることも防災の一部になっています。
市も「急な大雨や溢水が頻発」と認識
大網白里市は2026年9月、河川や排水路の水門・堰の管理について、市民や農家へ改めて協力を求めました。
市の説明では、近年の気候変動に伴って局地的な大雨や急な増水・溢水が頻発しているとしています。
水田用の水門や堰が大雨時に閉じたままだと、排水能力が落ち、道路や住宅への浸水を悪化させる可能性があります。
そのため、大雨予報が出た際には水門を開放し、できるだけ早く排水するよう呼びかけています。
新しい都市づくりでは「水害対策」が外せなくなった
こうした状況の中で進んでいるのが、大網駅南地区のまちづくりです。
対象となるのは、JR大網駅の南側。
南玉・池田・駒込地内を中心とする約18ヘクタールのエリアです。
現在は農地、住宅、月極駐車場などが混在しています。
駅前広場・商業施設・住宅を一体整備
市が示している将来像は、単に住宅地を増やすというものではありません。
地区を、
- 駅前ゾーン
- 商業・業務ゾーン
- 沿道ゾーン
- 住宅ゾーン
- 水辺景観軸
などに分ける構想です。
さらに、
- 駅前広場
- 駅へのアクセス道路
- 公園
- 商業・業務施設
- 住宅
などを整備・誘導していく方針です。
そして計画に明記されている「浸水対策」
大網駅南地区のまちづくりで重要なのが、浸水対策が最初から計画に組み込まれていることです。
地区のまちづくり目標には、
「誰もが安全で安心して暮らせるまち」
が掲げられています。
市は、浸水被害の軽減を進め、防災・減災対策を充実させることを明記しています。
駅前開発と治水を別々に考えるのではなく、新しい町を造る段階から水害への備えを組み込む形です。
地元側からも浸水対策を要望
大網駅南地区では、地権者や地域住民などによる「まちづくり協議会」も設置されています。
この協議会は2025年6月、市へまちづくり構想を提出。
その際、都市基盤整備だけではなく「浸水対策に関する要望書」も市へ提出しています。
つまり水害対策は、市役所側だけが考えているテーマではなく、地元側からも重要課題として挙げられているわけです。
「巨大ショッピングモール建設決定」ではない
ここは誤解しないようにしたいところです。
大網駅南地区に、大型ショッピングモールや特定のスーパーが出店すると決まったわけではありません。
現段階では、商業・業務施設や住宅などを誘導するまちづくりの方向性が決まった段階です。
今後、民間事業者などと事業化を検討していきます。
具体的にどの店が入るのか、いつ工事が始まるのかといった情報はこれからです。
そして10月29日、新しい都市計画マスタープラン策定
さらに本日、2026年10月29日。
大網白里市は、新しい「大網白里市都市計画マスタープラン」を正式に策定したと発表しました。
前のマスタープランは2009年に作られ、2025年に目標年次を迎えていました。
今回の新計画では、
- 人口減少
- 少子高齢化
- 環境問題
- ICT社会
- 社会経済情勢の変化
などを踏まえ、これからの市全体の都市づくりを改めて定めています。
人口は2012年をピークに減少
大網白里市では人口問題も大きな課題です。
市の地域再生計画によると、住民基本台帳人口は2012年9月の51,218人をピークに減少しています。
2026年10月1日時点の人口は46,690人。
4月の46,952人から半年で262人減っています。
かつては「人口が増える街」だった
大網白里は以前、住宅団地の開発によって人口が大きく増えた地域です。
1990年代前半には年間3,000人を超える転入があり、年間1,000人以上の転入超過となった時期もありました。
その後は転入・転出が拮抗。
2020年から再び転入超過となり、2023年までは社会増が続いていました。
しかし市の人口ビジョンでは、2024年10月末時点で46人の転出超過となり、再び社会減になる可能性が高いと分析しています。
水害が原因で転出が増えたのか?
ここは分けて考える必要があります。
現在、市の公表資料では、
「水害が原因で住民の転出が増加した」
と直接結論づけるデータは確認できません。
人口減少や転出超過の兆候は今回の豪雨以前から存在していました。
一方、2026年には大規模な浸水被害、土砂崩れ、道路通行止めなどが実際に発生し、市が被災住宅への支援や災害ごみ処理、車両避難場所の確保などに追われています。
今後「住み続けたい街」をつくるうえで、治水や防災の重要性が以前よりさらに高まっていることは間違いありません。
道の駅から「生活基盤+駅南開発」へ
一連の動きを見ると、大網白里市の方向性が少し見えてきます。
白里側で予定していた大型の道の駅事業は中止。
その一方で、
- 河川改修
- 排水対策
- 道路整備
- 既存公共施設対策
- 大網駅南地区の整備
など、日常生活や市の中心部に直接関係する事業へ重点を置こうとしています。
白里地域の活性化をやめるわけではない
道の駅が中止になったからといって、海側の白里地域を放置するということではありません。
市は、道の駅に代わる方法として、既存施設やソフト事業などを活用しながら白里地域の活性化を進める方針です。
こちらも今後、具体的な施策が出てくる可能性があります。
今後注目したいポイント
大網白里市について、これから注目したいのは次の点です。
- 大網駅南地区の具体的な事業者
- どんな商業施設が入るのか
- 駅前広場や道路の整備時期
- 具体的な浸水対策
- 金谷川の河川改修
- 白里地域の道の駅に代わる活性化策
- 人口減少・転出超過をどう抑えるか
この辺りが具体化してくると、大網白里市の姿はかなり変わってきそうです。
まとめ
大網白里市では今、まちづくりの大きな転換期を迎えています。
白里地域の道の駅計画は中止。
一方、大網駅南側では約18ヘクタールを対象に、駅前広場、商業・業務、住宅、公園などを含む新しい街づくりが進んでいます。
そこに2026年の豪雨と台風25号による大規模な水害が重なりました。
新しい都市計画では、単に店や住宅を増やすだけではなく、「災害に強く、住み続けられる街をどう作るか」がこれまで以上に重要になっています。
道の駅を造る計画から、生活インフラ、防災、駅周辺の再整備へ。
これから数年、大網白里市がどのように変わっていくのか注目していきたいと思います。
大網白里市・道の駅整備中止
→ 大網白里市公式情報
新しい都市計画マスタープラン
→ 大網白里市公式情報
大網駅南地区まちづくり
→ 大網白里市・大網駅南地区
※掲載内容は2026年10月29日時点の大網白里市公式資料をもとにしています。人口減少・転出と2026年の水害との直接的な因果関係は、現時点で市の公式資料では確認されていません。
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