2026年10月22日木曜日

千葉市美術館で「月と星と―美術がつなぐとき」開催中|約150点でたどる千葉900年と夜空の物語

秋の夜、空を見上げると目に入る月と星。

そんな「月」と「星」をテーマにした少し変わった特別展が、千葉市美術館で開催されています。

展覧会名は、

「月と星と―美術がつなぐとき」

2026年の千葉開府900年を記念した特別展で、古い絵巻や天文資料から現代アートまで、約150点もの作品を通して、人間と夜空との関わりをたどります。

展覧会:千葉開府900年記念特別展「月と星と―美術がつなぐとき」
会期:2026年9月16日(水)~11月23日(月・祝)
会場:千葉市美術館
住所:千葉市中央区中央3-10-8
時間:10:00~18:00(金・土曜日は20:00まで)
料金:一般1,500円、大学生1,000円、小・中学生・高校生無料

月と星をテーマに約150点

この展覧会の面白いところは、単に「月を描いた絵」を集めた美術展ではないことです。

人間が昔から月や星を、

  • 眺める
  • 観測する
  • 描く
  • 祈る
  • 物語にする

といった、さまざまな形で関わってきた歴史そのものを美術でたどります。

近世美術、天文資料、絵巻、現代アートなど、時代もジャンルも異なる約150点が展示されています。

昔の人が見た「宇宙」も展示

会場には、江戸時代以前の人々が星空や宇宙をどのように理解していたのかが分かる資料も並びます。

例えば、1247年に中国で作られた星図をもとにした《淳祐天文図》。

1687年の《ブルナッチ天球図》や、18世紀の天球儀なども展示されています。

今ならスマートフォンを空へ向ければ星の名前まで分かりますが、何百年も前の人たちも夜空を見上げ、星の位置を記録し、宇宙の姿を理解しようとしていました。

葛飾北斎から現代アートまで

展示されるのは古い天文資料だけではありません。

葛飾北斎の『冨嶽百景』をはじめ、近世から現代まで幅広い作品が登場します。

現代美術では、

  • 青木野枝
  • 三沢厚彦
  • 宮島達男
  • 髙田安規子・政子
  • 川内理香子
  • 植松琢麿
  • 渡辺泰子
  • 渡辺望

などの作品を展示。

歴史展示を見ていたと思ったら、突然現代アートの世界へ入っていく。

時代を飛び越えながら「人間はなぜ月や星に惹かれるのか」を見る構成になっています。

千葉開府900年だからこその「月と星」

なぜ千葉開府900年の記念展が「月と星」なのでしょうか。

ここには千葉の歴史が関係しています。

千葉のまちは、大治元年(1126年)に平常重が現在の千葉市中央区亥鼻付近へ本拠を移し、「千葉」を名乗ったことから始まったとされています。

その千葉氏が一族の守護として信仰したのが「妙見」でした。

千葉市美術館では、妙見について北極星とその周囲を巡る北斗七星を神格化した信仰と説明しています。

そして千葉氏を象徴する「月星紋」とともに、月や星は千葉のまちの歴史とも深く結びついてきました。

この展覧会では、そうした千葉の歴史も「月と星」という大きなテーマの中に組み込まれています。

《千葉妙見大縁起絵巻》も展示

千葉との関係を象徴する展示の一つが、千葉県指定有形文化財《千葉妙見大縁起絵巻》です。

室町時代に成立したとされる資料で、榮福寺が所蔵しています。

美術館の公式案内でも、この絵巻は展覧会を代表する作品の一つとして紹介されています。

横8メートルを超える作品が修復後初公開

もう一つ気になるのが、日本画家・田岡春径による《妙見尊出現之図》です。

横幅はなんと8メートル以上。

千葉市立郷土博物館が所蔵する旧壁画で、今回が修復後初公開となります。

写真だけではなかなか大きさが伝わらない作品なので、実物を見る価値がありそうです。

現代美術まで「星」でつながる

歴史的な作品と並んで展示される現代アートも、この展覧会の大きな特徴です。

宮島達男の大規模インスタレーション《地の天》も修復後初公開。

さらに2026年制作の川内理香子《Stars Through a Spider Web》など、現在の作家たちが表現する「星」や「宇宙」へと展示が続いていきます。

何百年も前の人が見上げた星空と、現代のアーティストが見ている星空。

同じ月と星を通じて、全く違う時代が一つにつながるわけです。

館内には「みょーけんスタンプ」も

少し気軽に楽しめる企画もあります。

展覧会期間中、館内では「月と星と千葉の宇宙史 みょーけんスタンプ」を実施。

漫画家・西島大介さんによるオリジナルキャラクターが登場し、1階・4階・5階・8階を巡りながらスタンプを集めます。

空欄になった「月と星と宇宙史」の答えを探しながら、美術館内を回る仕掛けになっています。

難しい歴史展というより、子どもと一緒でも楽しめる入口が用意されています。

1階では無料で見られる巨大作品も

「まず少しだけ雰囲気を見てみたい」という人には、1階のさや堂ホールもあります。

ここでは三沢厚彦さんの巨大な木彫作品《Animal 2023-01》を無料で見ることができます。

有料展示を見る前に立ち寄ってみてもよさそうです。

金・土曜日の夜は少しお得

金曜日と土曜日は20時まで開館しています。

さらに18時以降は「ナイトミュージアム割引」で観覧料が2割引になります。

一般料金なら通常1,500円なので、夜にゆっくり見に行くという選択肢もあります。

展覧会図録も約180点を収録

展示をじっくり残しておきたい人向けに、展覧会図録も制作されています。

約180点の作品図版に加えて、展覧会場を撮影したインスタレーションビューも多数収録予定。

192ページ、価格は3,200円+税で、11月中旬の発行が予定されています。

「星を見る」という行為から千葉の歴史を見る

美術館というと、絵の作者や技法について詳しくないと楽しめないと思う人もいるかもしれません。

今回のテーマはもっと身近です。

夜空を見上げて、月や星をきれいだと思う。

そこから始まります。

昔の人も同じ空を見て、そこに物語を作り、時間を読み、方角を知り、ときには祈りを捧げてきました。

その積み重ねを美術や歴史資料で見ると、普段何気なく見ている月や星が少し違って見えてきます。

そして千葉という土地にも、星とともに積み重ねられてきた長い歴史があります。

11月23日まで開催

「月と星と―美術がつなぐとき」は11月23日(月・祝)まで。

千葉開府900年という節目だからこそ企画された展覧会です。

美術が好きな人はもちろん、天文、歴史、千葉の昔の姿などに興味がある人にも面白い展示になっています。

秋の夜空がきれいな時期。

美術館で月と星を見てから、帰り道に本物の夜空を見上げてみるのもよさそうです。

展覧会の詳細
→ 千葉市美術館「月と星と―美術がつなぐとき」公式ページ

※掲載内容は2026年10月22日時点の千葉市美術館公式情報をもとにしています。展示内容や開館情報は変更される場合があります。

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